
欧米ではマスクをあまり着けていませんが、実際の所マスクでどれくらいウイルスの感染を防止できるの?

マスクにも種類が色々あるけど、どれくらい性能の違いがあるのでしょうか。
私も気になっていました。今回マスクの効果を定量的に検証した論文が発表されたので、わかり易くご紹介したいと思います。
この記事を読むと、次のポイントを知ることができます。
①ソーシャルディスタンスによる感染防止効果
②マスク着用によるウイルス拡散防止効果
③マスクの種類による性能の差
本物のコロナウイルスを用いたマスク効果の検証実験

諸説あったマスクのウイルスへの効果
コロナのパンデミックが猛威を振るう中、ヨーロッパでは2020年11月現在感染拡大の第二波が襲っており、国・地域でロックダウンを行っている場所も多数あります。
そんな中でも私が住んでいるイギリスでは、日本と比べると極めてマスクの着用率が低いです。屋外ではマスクを着用している人はほぼ無し。
スーパーなどは着用が義務化されたものの、店員やガードマンは未着用の人も多く、小学校などではマスクの着用そのものを禁止している学校もあると聞きます。日本とはかなり違う環境で、おそらく日本にいる方がこちらに来ると戸惑うことでしょう。
また世界を見てもマスク着用に否定的な国も多く、国家のリーダーが率先してマスク着用の効果を否定するといった報道も見受けられました。
そんな中で暮らしていると、周りに馴染んでマスク着用を軽んじてしまいまそうになる自分がいて、しっかりとしたウイルス感染防止効果のエビデンスを知りたいと思っていました。
遂にマスクのウイルス感染防止効果が定量的に分析された

そんな中、最近東大から、ズバリ私が知りたかったマスク効果を定量的に検証した論文が発表されましたので、ご紹介したいと思います。
論文のタイトルは「Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2」、日本語に訳すと、「コロナウイルスの空気感染防止に関するフェースマスクの効果」という、そのものズバリな名称です。
そしてこの実験のすごいところが、本物のコロナウイルスを使ってその効果を検証したという点。
論文はこちらから誰でも読むことができますが、あまり難しくなく、できるだけわかり易く皆さんに内容をお伝えできるように頑張ります。
実験装置について

まず実験の概要は、論文中に掲載されいてる上記の図と写真が大変わかり易いので、こちらに引用させてい頂きます。密閉容器の左右に、マスクの着用が可能な頭部模型を、距離が調整できるように設置しています。
左側の頭部模型の口からコロナウイルスを含む飛沫を発生させ、右側の頭部模型の口に吸引装置を取り付け、人の呼吸相当で空気を吸引します。
吸引した先には人の粘膜を想定したゼラチン膜を設置し、そこに付着したウイルスを検出して、マスクの効果を計測します。
ウイルスの検出はウイルスの培養によるプラークアッセイ法と、コロナウイルスのテスト手法として有名になったPCR法の2種類によって実施しています。
検証① ソーシャルディスタンスによるウイルス感染防止効果
始めにご紹介したいのが、マスク無しで対面距離を変えた際に、どれだけウイルスの感染が抑制できるかという検証結果です。この結果は、ソーシャルディスタンスの効果を計る指標となるでしょう。
頭部間の距離を、25㎝、50㎝、100㎝と変えてそれぞれ計測した結果が、以下になります。

相手と50㎝離れるとウイルス感染量は半減し、100㎝開けることで約70%程低減させることができます。ソーシャルディスタンスの効果は確かにありそうですし、この距離と低減効果の関係は確保するべき距離を検討する上で参考になりそうです。
検証② 感染者のマスク着用によるウイルス拡散防止効果
次に、感染者を想定した左側の頭部模型に、異なる種類のマスクを着用して、右側の人がどれくらいのウイルス量を吸引するかを検証します。頭部の間の距離は50㎝で固定しています。

お互いマスク無しの時のウイルス量を基準とし、感染者側がマスクを着用した際のウイルス低減効果をまとめています。
綿マスク及びサージカルマスクによる低減効果は、約6~7割で、この2種類のマスクによる性能差は見られませんでした。
また感染者側が医療用グレードであるN95マスクを着用すると、その低減効果は95%以上にも及んでいるのは驚きです。
検証③ 吸引側のマスク着用によるウイルス吸引量低減効果
最後に、ウイルスにさらされている右側の頭部模型に、異なる種類のマスクを着用して、どれくらいのウイルス量を吸引するかを検証した結果をご紹介します。頭部の間の距離は同じく50㎝で固定しています。

ここで注目すべきポイントは、吸入側では綿マスクとサージカルマスクのウイルス低減量に差があり、サージカルマスクの方が約13~30%程効果が高かったという点でしょうか。
またN95マスクを着用することでウイルス低減効果は増大しますが、それでも吸引量は0にはならないという点も認識しておきたいですね。つまり、どんなに強力なマスクをしてもウイルスに感染するリスクは存在する、ということになります。
まとめ
コロナウイルスの感染拡大を防止する上で、この検証結果は非常に役に立つと思い、できるだけ多くの方にわかり易くまとめてみました。
仮に自分がコロナウイルスに感染してしまっていたという場合に、マスクを着用することによる感染拡大防止効果は絶大です。その効果は綿マスクもサージカルマスクも差は無く、マスクが手に入らない場合、手作りマスクやバンダナなどによるFacecoveringでも効果はありそうです。
一方、仮に自分が感染者とコンタクトした場合には、マスクの種類によってウイルス量の低減効果は若干異なり、綿マスク、サージカルマスク、N95マスクの順に効果は高まります。
しかし、マスクを着用しててもウイルスの吸引量は0にはならないため、行動を工夫しつつウイルスの感染を防止することが必要になります。
このマスク着用とウイルス感染抑制効果の定量的な数値が、皆さんの行動の参考になればと思います。
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